BFNEWS No.365 2010.12
工業統計から見た印刷産業
経済産業省から2009年(平成21)年工業統計速報が発表されたが、「4人以上事業所」の印刷および印刷関連産業の製造品出荷額は6兆1011億円となって、前年比較では9.4%の大幅減少となった。
1997年(平成9)との比較では当時の70.9%の製造品出荷額となっており、この12年間で約30%の出荷額が減少したことになる。
10月セミナーで速報数字を発表したが、2009年は辛うじて6兆円は維持したものの、前年のリーマンショックの影響もあって、10%近い落ち込みとなった訳だが、その後、全日本印刷工業組合連合会(全印工連)の10月16日の岐阜市で開催の全印工連フォーラムで発表された10年後の2020年の印刷産業予測では、「現在のペースで減少が続いた場合には3段階予測の中位予測で、市場規模は4兆6千億円、生き残れる印刷企業は現在の7割程度」と予測されるという衝撃的な発表があった。2009年の数字との比較では、さらに25%も落ち込む予想である。
中位の数字以外では、下位の最大悲観的な予測では3兆8千万円、なんと現在からさらに40%近い減少という悲観的な数字も出ている。
事業所数を見ると1万6484ヵ所から10.1%と大幅な減少で、1万4817ヵ所へと1600事業所が減っている。当然従業員も減少しているが、その幅はマイナス6.3%と2万人が減っていることになる。印刷業自身の地盤沈下が大きいと見るが、それでも、新規開業が0.8%、廃業が3.4%となっている。産業別・各県別では東京都が印刷及び印刷関連産業が第1位で、そのシェアは17%である。地場を代表する産業になっているが、他府県ではベストスリーには入ってはいない。
「10人以上事業所」の印刷および印刷関連産業の事業者数では東京がトップで、1360事業所、以下大阪765、埼玉644、愛知415、福岡212と都市型産業であって、全国では6823事業所で前年の比較では事業所数でマイナス7.0%となっている。
一方、同日に発表された東京都における「4人以上事業所」の印刷および印刷関連産業の統計では、都内の事業所数は3297ヵ所で、全産業の中のシェアは20%、前年比では479事業所(12.7%)が減少ている。従業員数も4853人(7%減)と、地場最大のシェアを持つ産業もあってか、全産業の中でも最大の減少幅で、また10人以上の統計と比較しても小規模の4人以上のほうが落込みも大きく、昨今の景気の影響を最も大きく受けている産業ということになっている。
製造品出荷額でも全国平均の前年比9.3%減少に対して、16.3%減(埼玉)14.3%減(東京)、付加価値額でも全国が8.8%減に対して14.9%減(東京)13.5%(埼玉)と全国平均と比べても、東京・埼玉が大幅に低下している。それだけ競争が激しく、付加価値の低下を招いているようである。これに対して、愛知・福岡は出荷額も付加価値額も低下の割合が低く、低下率は一桁になっている。当然に地域の景気動向なども影響している。
ペーパーレスの動きや、地球温暖化防止の波は世界中に影響を与えている。今後の変化を考えると、さらに動きが見えてくると思われる。
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ニュース
◆製紙連合会 10月の紙・板紙国内出荷
10月の紙・板紙の国内出荷量は224万3354トンで前年同月比2.5%減と、前年11月以来11ヵ月ぶりのマイナスとなった。紙合計が2.9%減で4ヵ月連続のマイナス。板紙も1.9%減と1年ぶりにマイナスを記録し
た。
印刷・情報用紙の国内出荷は3.1%減と4月以来7ヵ月連続のマイナス。包装用紙・板紙などの国内出荷は、猛暑での飲料需要の一服、農作物の不作から段ボール出荷の落ち込みなどの影響が大きかった。
<10月の紙・板紙国内出荷量 >
| 品 種 |
国内出荷量 |
| 新聞用紙 |
280,499 |
( 97.4%) |
| 印刷・情報用紙 |
721,994 |
( 96.9%) |
| *フォーム用紙 |
20,071 |
( 92.9%) |
| *PPC用紙 |
69,563 |
( 99.2%) |
| *情報記録紙 |
11,121 |
( 93.0%) |
| 紙 計 |
1,284,929 |
( 97.1%) |
| 板紙 計 |
958,425 |
( 98.1%) |
| 紙・板紙 合計 |
2,243,354 |
( 97.5%) |
*単位トン。( )内は前年同月比。
◆製紙6社の上半期連結決算
製紙大手6社の上半期(2010年4〜9月期)の連結決算が出た。増収増益(経常)は2社、増益となったのはコスト削減効果によるもので、売上高利益率では、王子製紙5.6%、日本製紙3.1%、三菱製紙1.7%、レンゴー7.1%と、印刷用紙主力と段ボール主体企業とで収益力に差が出た。
4〜9月は印刷用紙の需要減に対し、記録的猛暑で飲料向段ボールの伸びと、板紙用の段ボール古紙の価格上昇幅が、印刷用紙原料の新聞・雑誌古紙に比べて小さかったことが影響した。こうし
た中で、北越紀州製紙の4〜9月期連結決算が際立っている。
<2010年4〜9月期製紙6社の業績 >
| 企業名 |
売上高 |
経常利益 |
| 王子製紙 |
5,717 |
( 2) |
275 |
(11) |
| 日本製紙G本社 |
5,514 |
( 5) |
142 |
(-20) |
| レンゴー |
2,407 |
( 7) |
164 |
( 5) |
| 大王製紙 |
1,994 |
(-51) |
34 |
(-51) |
| 北越紀州製紙 |
1,097 |
( 29) |
52 |
( 24) |
| 三菱製紙 |
1,066 |
( -2) |
8 |
( 3.6倍) |
*単位億円。( )内は前年同月比、−は減。
◆トッパン・フォームズ関連ニュース
<高セキュリティー・環境対応の滝山工場竣工>
かねてDPS事業等を推進するための基幹工場として鋭意建設を進めてきた、東京・八王子市戸吹町の「滝山工場」が10月に竣工した。
新工場はIDカードによる認証に生体認証など複数のセキュリティー設備を組み合せた厳重な入退室管理などによる高度なセキュリティー体制と、LED照明などによる省エネルギー化を図り、近隣の自然環境、生態系への影響に留意し、屋上緑化とともに新春には太陽光パネルが設置され、一段と進んだ環境負荷の低減を図るとしている。
新工場を中核として、従来の工場を含めて売却等 ・各製造拠点の統廃合による効率化を進めていく。
<総労務費率の引き下げへ>
日経新聞によれば、トッパン・フォームズは2015年3月期までに売上高総労務費率を、2010年4〜9月期比5ポイント低い23%まで引き下げるという。
拠点の集約、業務の効率化などで、売上高営業利益率の10%達成を目指す。総人件費についても補助的業務の削減、時差勤務の促進などを進め、新規事業への参入時にも社員の増員はせず既存社員の異動で対応し、労務費の増加を抑える。
<DPS事業で中国に進出>
帳票・DMなどの印刷・発送業務を請け負うDPS事業で同社は中国本土に本格進出する。営業拠点とする中国広州市に、地元のコールセンター運営の広東華亨電信設備と合弁子会社を12月に設立する。新会社は「広州トッパン・フォームズ情報技術」で、トッパン・フォームズ60%、広東華亨40%の出資。印刷業務は深セン市のトッパンの工場、現地の協力会社依頼、広東華亨はシステム開発も手掛けているので、このノウハウを活用して顧客管理なども受託する。このほかトッパン・フォームズのICタグによる物流管理システムなども展開する。
◆大日本印刷 ソニーの業務プリンタ事業買収
大日本印刷はソニーの業務用プリンタ事業の一部を2011年4月1日付で買収する。買収するのはプリンタの製造を除く事業で、ソニーが設置したプリクラ等を含む店頭の写真の即時プリ ントなどに補給品を供給する事業。
現状、ソニーはこの事業の海外売上比率が80%に達することから、事業を引き継ぐことで成長が見込める海外市場の開拓を加速する。ソニーの従業員(国内外で70人)の一部も大日本印刷に転籍する予定。また、ソニーは業務用プリンタ
事業は医療向けに特化させる方針で、高品位モニターなどと組み合わせ、医療機関などの顧客開拓に努め
る。
◆大日本印刷 CFPマーク表示を推進
大日本印刷はポスターやパンフレットなどを対象にした「宣伝用、業務用印刷物」の生産から廃棄までのライフサイクル全体で発生する二酸化炭素(温室効果ガス・CO2)排出総量を示すカーボンフットプ
リント(CFP)表示を展開していく。
CFP制度の導入に向けた取組みは世界中に拡がっており、2011年度中にも国際規格が制定される予定
で、同社はこのほどCFP制度運営事務局から、「宣伝用、業務用印刷物」における「CFPマーク」の使用許諾を取得した。
同社はまず、「CSR報告書」などの報告書類、環境活動紹介パンフレットについてCFRを算出し印刷表示をした。また顧客企業から受託した印刷物・容器包装などの製品について、原料調達から生産・排出までのCFP値データを提供するサービスを実施して、事業試行へ促すなどCFP制度の普及を推進する。
CFPマークは、パンフレットやポスターなどの宣伝用と報告書などの業務用印刷物が対象で、書籍や
雑誌への表示には対応していない。なお、これらの動きは印刷各社でも検討しており、大きな動きとなりそうである。
◆東京応化工業 印刷用樹脂版事業コダックに譲渡
東京応化工業は印刷用感光性樹脂版の事業を、米国イーストマンコダックとその子会社に譲渡する。同社の感光性樹脂版「エラスロン(OHKAFLEX)」「ミラクロン」「リジロン」は、連結子会社である山梨
応化が生産し、東京応化工業とTOKヨーロッパが販売していた。2011年3月1日を目標に事業譲渡手続きを進める。
東京応化工業の印刷材料事業部門の売上高は28億9300万円で全体売上げの4%強だった。
◆トピックス 漫画「ワンピース」200万部突破
雑誌・書籍不調のなか、尾田栄一郎作の人気漫画「ONE PIECE(ワンピース)」(集英社)の最新巻の第60巻(11月4日発売)の第1週の売り上げ部数が209万部(オリコン調査)となり、前巻の59巻が記録した第1週売り上げ部数185万部(ワンピースシリーズ最多記録)を更新した。
ワンピースは海賊たちの冒険を描いたもので、集英社の書籍売り上げランキングで200万部を突破したのは2008年4月の調査開始以来初めて。
◆東レ インクジェット内覧会
東レエンジニアリングは新製品のインクジェットシステム「TJ-100」を同社瀬田工場で12月7日(火)〜24日(金)(土日祝日を除く)10時〜17時のスケジュールで内覧会を開催する。
TJ-100は用紙サイズ20インチまでのフォームに特化したUVインクジェットシステムで、東レの帳票ソフトから容易に印刷が可能で、スピードも600 dpiで50m、300dpiで100mの分速を実現し、高密度のバーコードの印刷に対応する。
内覧会参加希望者は、社名、参加者名(所属等も)連絡先(電話・FAX等)参加希望日(午前・午後)を明記の上、フォーム印刷研究会迄申込みの事。
・会場 東レエンジニアリング瀬田工場、実装技術センター内、滋賀県大津市大江1丁目1番45号。
なお、「TJ-100」についてはフォーム印刷研究会12月のセミナーで、東レエンジニアリングから内容が発表される。
◆共同印刷 希望退職者募集
共同印刷は印刷市場環境の変化に適応する企業体質の変換を進めるため希望退職者の募集を実施する。
同社の従業員数は9月30日現在2241人で、希望退職者募集人数は270人と約12%に当たる大幅なもの。募集期間は平成23年2月7日から18日まで、退職日は3月31日。
同社では印刷市場の変化と企業間競争は一段と激化が予想され、そうした市場環境に耐える企業体質を築くとともに、役員報酬、幹部職員給与の減額などの人件費圧縮、設備投資の抑制、諸経費の削減などコスト構造改革の一環として今回の措置となった。
◆帝国データバンク 倒産・動向情報
<ムツミクリエテ>
ムツミクリエテ(資本金3000万円・大阪市北区・代表金谷基良氏・従業員10名)は、11月19日事業を停止し、事後処理を弁護士に一任、自己破産の準備に入った。
1957年(昭和32年)12月設立。会社案内、パンフレット、新聞チラシ、家電説明書、ポスターなどを中心に、大手家電メーカーからの受注で業績を伸ばし、ピーク時の91年4月期には年売上高約21億9000万円を計上していた。その後得意先のコスト削減などで受注単価が低下、受注量も減少、2002年4月期には約7億6400万円にダウン。材料価格上昇を販売価格に転嫁できず収益は低迷し、受注減少に歯止めがかからず今回の事態となった。負債は約10億円。
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新製品・新技術
◆DIC カラーガイドのデジタル化
DICの色見本帳「DICカラーガイド」がデジタル化され、年内を目途にアップルストア等から無償提供される。
「DICカラーガイド」は1968年に発刊され、色見本帳の国内シェアは90%に達し、評価は定着しているが、顧客はDICの見本帳で色を決めてもインキは他社製品を使用するケースもあり、色見本帳への評価がインキの拡販に反映されきれなかったという反省から、デジタル版では希望の色を出すにはDICのどのインキとインキを混ぜれば良いのかが簡単に調べることができるようにした。さらにそれを補強する為にインクジェットプリンター、モニター携帯端末などが、見本の色を忠実に再現できる機器かの認定も実施する。
宣伝広告物における色の再現には印刷物以外の分野でもイメージを大きく左右するため、電子看板市場などでも、モニターがDICカラーガイドを忠実に再現できると認定されたものへの期待は大きいと見ている。デジタル版「カラーガイド」の利便性と、機器のカラーガイド認定制度の2本立てで、紙の見本帳同様のシェアとインキの拡販を計っていく。
◆携帯型電子端末百花繚乱
本が読める携帯型の情報機器が続々登場している。
ソニーは欧米など13ヵ国で販売している読書に特化した専用機「リーダー」の日本語版を12月10日に発売。専用機らしく読書のしやすさが特長で、白黒の微粒子を制御して文字を表示する電子ペーパー方式。 カラー表示や動画表示はできないが、画面が発光しないので目に優しい。
シャープの多機能タブレット型端末「ガラパゴス」も12月10日に発売する。無線LANを経由してイン
ターネットに接続すればウェブサイトの閲覧をはじめ幅広い使い方ができ、新聞、雑誌など定期刊行物は自動配信にも対応、さらに来春には動画や音楽、ゲームなどにも対応させ普及につなげる。
こうしたコンテンツの配信サービスは、シャープがKDDI(au)や、ソフトバンク、NTTドコモの携帯各社
に供給する高機能携帯電話(スマートフォン)でも利用できる。
NTTドコモは韓国サムスン電子製の「ギャラクシータブ」を11月26日、NECビッグローブは「スマーティア」を12月6日、富士通フロンテックはカラー電子ペーパーを搭載した「フレッピア」を来春4月以降に発売する。
『電子書籍向けの主な端末』 *商品名(メーカー)画面寸法(重量)、発売日、配信サービスの順。
<多機能タブレット型>
△iPad(米アップル)カラー9.7型(680g)、2010年5月、書籍・動画・ゲームなど。
△ギャラクシータブ(韓国サムスン)カラー7型(約382g)、11月26日、実験サービス中、来春に書籍・マンガ・雑誌などを提供。
△ガラパゴス(シャープ)カラー5.5型(220g)・10.8型(765g)、12月10日、新聞・書籍・マンガ・雑誌など約2万冊。
△スマーティア(NECビッグローブ)カラー7型(370g)、12月6日、ゲーム・電子書籍・レストラン検索ソフト配信など。
<読書専用型>
△キンドル(米国アマゾン)白黒5型(約247g)・9.7型(約536g)、日本語版未定。
△リーダー(ソニー)白黒5型(155g)・6型(215g)、12月10日、文芸・実用書など書籍2万冊。
△フレッピア(富士通フロンテック)カラー(280g)来年4月以降、雑誌・マンガ・企業紹介など。
◆共同印刷 情報保護シールにも印字可能
共同印刷は同社独自の製品「ポスシークレット」(はがきと個人情報保護シールを一体化したもの)に、剥離紙表面にも可変情報を印字できる新タイプを発売した。
はがき本体のみならず剥離紙表面にも可変情報が印字できることで、廃棄されるだけだった剥離紙を宛名台紙、挨拶状、来店誘致のツールなどに活用でき、事前に顧客データと紐付けする管理コードを印字して、はがきを使った申し込み、受付業務の効率化もできる。
印字済み剥離紙の加工方法を独自に開発(特許出願済)し、従来の専用剥離紙を使用する製品に比べ約20%(同社比)コストダウンできた。
今後、活用可能な「口座振替依頼書」「住所変更届け」「入会申込書」「通販の申込書」などに積極的に拡販していく。
◆岩崎通信機 デジタルラベル印刷機発売
岩崎通信機はUVインクを使用するインクジェット方式のデジタルラベル印刷機「ラベルマイスターE
M−250A」を来年1月に発売する。
出力解像度は最大1200dpi、印刷速度は毎分50メートル(600dpi)、画像を1枚ごとに差し替えるバリア
ブル印刷や長尺印刷(2メートルまで)、つなぎ目のないエンドレス印刷も可能としている。ヘッドに洗浄液を内蔵する自動洗浄機構を採用しメンテナンスフリーとした。本体価格は2300万円。
保守は子会社のメディアコンフォートが担当。保守料金は150万円と120万円の2コースがあり、どちらもヘッドなどの主要部品の交換及び年4回の定期点検の料金が含まれる。
同社は電話機のメーカー大手だが、1960年に軽印刷のピンク版などの製版機事業に参入し、以来1988年にデジタル製版機、2006年インクジェット方式のデジタル製版機を発売している。
なお、販売代理店として、リンテックとDICグラフィックスの2社と契約した。
◆日本製紙 焼却灰から雑草発芽抑制材
日本製紙は製紙工程で出る焼却灰が雑草の発芽を抑制する効果があることから、「雑草抑制材」として来年夏に製品化する。
製紙工程で発生する繊維かすを燃やした際に出る焼却灰に水・石灰などを加えて粒状化し、道路の中央分離帯などに敷きつめる。粒状化した焼却灰は吸水力に富み、雑草の種より先に水を吸い取るため、風などに運ばれた雑草の種子の発芽を抑制できる。
現在、焼却灰は処理費を払って主にセメント原料に活用されているため、「雑草抑制材」として製品化することにより、収入源に転嫁できる。
◆京セラミタ カラートナーの原料を植物由来に
京セラミタはプリンタ・複合機などに使うカラートナーを、植物由来のポリエステル樹脂を原料にした製品を来年前半に発売する。
新製品は、廃棄焼却時に発生するCO2(二酸化炭素)の量を約30%減少させるもので、主原料の樹脂にもみ殻やヤシの実殻など複数の植物から作った樹脂を30%を混ぜ、顔料を加えて色を付ける。
当初の価格は既存のものより割高となる見込みで、これも販売量が伸び本格的量産となれば、同程度に抑
えられるとしている。植物由来原料のトナーは、リコーなどがモノクロタイプで発売しているが、カラーでは初めてとなる。
◆凸版印刷 真贋判別が目視で可能なラベル
凸版印刷は見る角度を90度傾けると画像が白黒反転して容易に真贋の判定ができる偽造防止ラベルの新製品「S-White(エス-ホワイト)を発売した。
エス−ホワイトは、同社独自の高度なホログラム技術によって、拡散する光の方向や広がり方をコントロールすることで、見る角度を変えると、白黒が反転するため容易に真贋を判定できるというもので、従来の検証フィルターを使う真贋判定では、検証フィルターがないと判定ができないが、判定のためのツールを必要としないところが大きな特徴である。
中国の偽造防止製品の登録を義務づける「産品防偽監督管理弁法」に対応済みなので中国国内で販売・流通が可能で、さらにヨーロッパの環境物質規制にも対応済である。
価格は100万枚で単価2.5円〜としている。
◆凸版印刷 高速カードプリンタ「CP500」開発
凸版印刷は、身分証、学生証、入館証などIDカードの発行を行うカードプリンタの新製品「CP500」を開発した。
同社の従来製品の特長である顔料インキ使用による高い耐久性、セキュリティ性と磁気カードから非接触カード、接触ICカードまで扱える対応力は維持しながら、発行スピードを約2倍に向上。本体のサイズは約3分の2、重量は約2分の1に小型軽量化を果した。印刷速度は片面1時間に125枚、両面80枚となる。
顔料インキによる印字で偽造が困難。紫外線などによる色あせに強く、グリーン購入法へも適合。オプションでホログラムにも対応する。2011年8月発売の予定。
特集 印刷市場の環境変化とデジタル印刷〜デジタル印刷ビジネス成功の秘訣〜
株式会社 バリューマシーンインターナショナル 取締役副社長 宮本 泰夫
多くの印刷企業あるいは印刷周辺の産業において、デジタル印刷へのシフトを目指す経営者が増えている。従来型の大量生産、大量消費型の印刷ビジネスから、小ロット多品種を目指したデジタル印刷ビジネスへの参入が志向されている。
これは印刷市場を取り巻く環境の変化に依存している。古くから印刷とは大量に生産し、一部あたりの生産コストを下げ、より多くの消費者(あるいは印刷物の利用者)に情報を提供するという目的で行われてきた。しかしながら近年では、消費財のライフサイクルの短縮や、消費者の持つ趣味嗜好などの多様化により、画一的な情報を多くの消費者に届けるよりはむしろ、小ロットできめ細かく内容を変更したり、ターゲットに合わせて内容を変えるといった方法が販売促進、情報提供分野にて有効であるとの認識が高まっている。こうした市場環境の変化を見据えた上で、多くの印刷企業がデジタル印刷へのシフトを検討しているので
ある。
このように、デジタル印刷ビジネスは市場の変化に追従し、また時流に合った手法であると言える。しかしながら、そのビジネスの成否について見れば、成功している企業は一握りであるというのが現実である。どういった取り組みをしている印刷業が成功しているのか、また残念ながら失敗しているのか、多くの印刷企業に対するコンサルティングの経験から、そのポイントについて考えてみたい。
まず、デジタル印刷ビジネスに成功している印刷業に共通しているのは「特化」した戦略を持っているという点である。一言で「特化」といっても様々な側面があるが、例えば、名刺など何らかの商材に「特化」したビジネスを展開し、その商材では他社に負けないといった戦略が挙げられる。商材以外への特化戦略としては、流通業界、パチンコ業界などターゲット業界に対して特化するといった戦略や、地域に特化する戦略、デザイン、後加工など技術やノウハウを強みとして訴求し、その分野に特化してビジネスを展開する戦略などが挙げられる。
このように、何かに「特化」することで、他社と差別化を図るサービス戦略を持っていることが重要である。逆に「何でもできる印刷会社」では、その企業の強みや差別化のポイントを訴求することができず、他社との価格競争になるケースが多く見られる。デジタル印刷ビジネスに限ったことではないが、いかに差別化できるかといったことが重要となる。
一方、多くの印刷企業が、デジタル印刷機を導入したにも関わらず、ビジネスに失敗している。この要因として最も多いのが、「設備ありきのサービス戦略」を立てていることである。デジタル印刷機を導入すれば、仕事が受注できるといった見方がなされているのである。
もちろんデジタル印刷機を保有していること自体が他社との差別化のポイントになることもあるかもしれないが、ただ保有していることで仕事がくる訳ではない。デジタル印刷機は単なる道具にすぎないのであるから。
デジタル印刷機を利用して「どういったビジネスを」、「誰に対して」、「どのような方法を用いて」知らしめ、そして提供するのか。その結果、顧客がどのようなメリットを享受できるのかといったことを 真剣に考えることが、ビジネス成功のための第一歩であり、どの印刷会社にもそのチャンスがあることは言うまでもない。
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