BFNEWS No.282 2004.1

いよいよ後がなくなった
 
 印刷業界のマーケットの収縮がはっきりと見えてきている。特にビジネスフォーム業界はコンピュータの変化ばかりでなく、大きく環境が変化しているため、その変化が目立つ。

 いささか古い資料だが、経済産業省2001年(平成13)の工業統計・産業編によると、全印刷製品出荷額が前年比1.9%減の6兆9478億円となり、ピーク時の1997年(平成9)の7兆7172億円から連続して下がり続け、11年間維持していた7兆円もついに割り込んでしまった。2002年(平成14)分の統計速報値では、落ち込みはさらに進行しており、推定では4%近いマイナス数値が予測されている。
 事業者数、従業員数、出荷額のいずれをとっても減少しており、製版、製本、印刷関連のサービスを加えた大きな印刷関連産業としては、7兆9709億円と、ピーク時の8.9兆円から約1000億円近くが減少したことになる。
  さらに最近の動きとして印刷物製品の輸入が増加している。前年比で13%増の1016億円、その内では中国製品が急増しており、統一伝票や既製品の帳票類は、圧倒的な価格差で、商社ルートの販売品となるなど、この部分でも印刷業における空洞化は避けられない状況になってきた。

 バブルの崩壊、金融関連の合従連衡から始まった動きは、e-Japan計画、IT・パソコンの進化、経済環境から来た売上の停滞とデフレ傾向の中でのすべての経費や原価の見直し・圧縮、これらの大嵐のような「売れなくなった」動きの中では、従来型の踏襲では対応できないのは当然である。
 倒産会社の75%以上が売上減少による不況型倒産で、03年の倒産数は小康状態に見えるが、これから来る大型不況の小休止状態で、やがて発火点に達したときが大変なことになるだろうという予測がされている。(帝国データバンク)

 世間では輸出産業など一部で景気回復が見えたとしているが、印刷業の回復は一般産業よりも半年は遅れる。しかも中小零細が中心で、いよいよ後がなくなった。この環境でどのように向かいあい、差別化して行くのだろうか。今月のセミナーの課題は重い。
 
 

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ニュース

◆デル、プリンタなどで3社と提携

 米国パソコン大手のデルは富士ゼロックス、韓国のサムスン電子、米国コダックとの提携を発表した。
 具体的な提携内容は明らかにされていないが、デルはパソコンからサーバー、プリンタ、デジタルカメラ、家電にまでその領域を急速に広げており、家電事業を今後の成長の柱に位置づけている。
 フジゼロックスのカラーのレーザープリンタ技術、コダックのデジタル写真処理技術、サムスンのIT技術による新機種の拡充を目指している。
 

◆全印工連、e-Japanのガイドブック

  全印工連はこのほどガイドブック「e-Japanが迫る〈電子入札〉」を発行した。
 このガイドブックは全印工連が平成14年2月に発行した「e-Japanが変える印刷需要」のパートUとして発行するもので、電子自治体対応と電子入札の事例等を中心にして、印刷業から総合的コンテンツ支援業への業態変革の必要性について解説したもの。
 主な内容としては、「印刷業の新たな取り組み」、「e-Japan戦略と官公庁の今後」、「ここまで進んだ電子自治体」、「印刷業界の対応」などで、各項目ごとに解説しながら具体的事例や法律まで解説している。
・問合せ 03-3352-4571
 

◆フェリカ、ISO規格承認とその波紋

 ソニーとオランダのフィリップスが共同開発した近距離無線通信技術「NFC」がISOの国際標準規格に承認された。
 このNFCはソニーが展開している非接触ICカードの「フェリカ」(JR東日本の「スイカ」、電子マネーの「エディ」など国内だけで合計900万枚、海外もふくめると3000万枚以上発行されている)に応用されており、ICカードの規格では3種類目の国際標準品となる。
 一方、すでにISOの規格に認定され、住民基本台帳ネットワーク用のカードに採用されている「タイプB」を採用したカード「エーデルワイズ」を展開するNTTコミュニケーションズは、建築物や部屋などの入退出管理などで高いシェアを持っているセコムと提携してエーデルワイズを共同で販売することで合意した。
 ソニーはこれに対してNTTドコモと提携して、約4000万台といわれるドコモの携帯電話にフェリカのICチップを組み込むことに合意した。
 国際標準規格もさることながら、業界標準の争いまでもが激化している。
 

◆厚労省、医薬品バーコードシステム導入

 厚生労働省は多発する薬剤投与ミスを防ぐため、医薬品に名前や成分量などを表示するバーコードを導入する方針を固めた。
  02年度に厚労省へ報告のあった国立病院での医療事故は124件あり、そのうち18件が薬剤投与に関連したものだった。厚労省の指導により専門家や業界代表らによる検討会を設置し、具体策を討議する。対象としているのは医療用医薬品で、薬品名や成分量の情報をバーコード化し容器ごとに表示する。医師の処方はコンピュータに入力し、患者の腕にも患者認識バーコードを付ける。薬品の投与前に、薬品のバーコードと患者認識バーコードを読み取り機で照合することにより、処方通りか確認ができ事故を防ぐことができる。
 日本製薬団体連合会(製薬関係35団体が加入)は改正薬事法で義務化される血液製剤などの細かい販売記録の保存のため、バーコードの導入を検討し始めた。注射薬などは05年夏からバーコードを付ける予定で動いている。
 

◆加工食品業界でトレーサビリティーのルール

 食品素材から加工、卸、小売などの食品関連企業とNTTデータの23社が、加工食品のトレーサビリティー(生産履歴の追跡)システムに使う商品の識別番号体系を統一することになった。
 基本ルールはメーカー名や商品品目は合計13ケタ、賞味期限、製造年月日はそれぞれ6ケタの数字で記載するとしている。このルールは国際標準のコード体系「UCC/EAN−128」に基づいて作成されたので、輸入食品にも対応しやすくなっている。
 まだ普及度の高い一次元バーコード、2次元コード、ICタグなど多様な情報媒体でも利用できる。
 23社のうちの有力企業は任意団体の「共同トレーサビリティセンター」を設立して、利用産業にID番号を割り振ると同時に、履歴追跡システムの運営やソフトの共同開発などを行う。
 

◆東京リスマチックと北東工業が業務提携

 製版サービスの東京リスマチック(東京都荒川区)と北東工業(大阪市中央区)は12月1日業務提携した。
 今回の提携のポイントは東京リスマチックが大阪の2営業所を北東工業に全面委任すること、オンデマンド印刷及び大判出力とDTPワークフロー等々のノウハウを2社間で共有することで、さらに北東工業の印刷製造工程のノウハウを東京リスマチックに提供する等である。
 北東工業は東京リスマチックの大阪センターを同社天満営業所に統合し、24時間営業体制を敷くとともに、ハイデルベルグのデジタルカラー印刷機も導入して新たな市場開拓を行う。
 

◆法文社、民事再生手続き開始決定

 法文社(東京都中央区・資本金1050万円・代表浅野秀夫氏・従業員31名)は、東京地裁へ民事再生法を申請、12月9日に再生手続き開始決定を受けた。
 同社は1947(昭和22年)年創業のBF業界老舗企業。ピーク時売上げ11億6900万円(02年3月期)、純利益400万円を上げていたが、03年3月期には売上9億円、220万円の利益計上をしていた。
 これより先の11月1日付けでトヨトモ(岐阜県)が営業部門を吸収して、法文社は生産部門だけの会社となっていた。トヨトモ(本社岐阜県関市・1973年(昭和48年)設立・資本金6450万円・従業員77名)は年商19億5500万円(02年11月期)、利益5100万円。
 発表された法文社の債務は、担保付4名2億4000万円、一般債権92名3億9249万円。
 

◆タカオカ・ビジネス自己破産申請

 タカオカ・ビジネス(大阪市、資本金1000万円、従業員17人)は事業を停止し自己破産を申請する。
 同社は1984年(昭和59年)3月に設立、連続フォーム、統計カードなどを主力にして、業容の拡大にあわせ86年に岐阜工場、東京営業所などを次々に開設した。96年10月期には年売上約4億6100万円を計上した。しかし、2002年には売上高が約2億2000万円までにダウン、工場の集約などリストラに勤めたが、今回の仕儀となった。負債は約2億3400万円の見込み。(帝国データバンク)
 
 

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新製品・新技術
 

◆POS用プリンター -NECインフロンティア-

 NECインフロンティアは印字速度を従来より約2倍に速めた「POS端末搭載用サーマルプリンタ」を発売した。
 この新型機の印字速度はこれまでの同等の製品に比べて1.6倍に速め毎秒240ミリとなった。さらにこれまでのPOS端末用プリンターは色の濃淡が付けられなかったが、新型機は濃淡を16段階で調整する機能が搭載した。これにより高精細のプリントが可能で複雑なデザインのクーポン券なども高速でプリントが可能となった。
 

◆コーパック、次世代型インキ「カチオンインキ」

 コーパックは次世代型インキの「カチオンインキ」を開発、4月14日〜17日に東京ビックサイトで開催される「CMM JAPAN&JSP2004(コンバーティング機械・特殊印刷展)」に出品すると発表した。
 カチオンインキは従来使用されてきたUV乾燥によるレタープレスやフレキソ印刷機用のUVインキと異なり、食品衛生法もクリアしたもので無臭・無毒・無公害の印刷インキ。
 印刷する原反は、紙、OPP、PET、ナイロンなど種類を選ばない。毎分300メートルの印刷スピード下においても100%硬化するし、食品用軟包装フィルムなどにも印刷できる。また、UVを照射しないかぎり乾燥しないため、刷版やローラーのこまめな洗浄が不要となり、版胴をドラムから離すだけでよく、翌日作業の場合でも瞬時に印刷機を稼動させられる。
 カチオンインキの開発は近い将来にグラビア、オフ輪機用などの印刷機により異なるインキの壁がなくなることで注目されている。
 

◆リコー、新方式ジェルジェットプリンタ発売

 リコーは高粘度インクを使った新技術「GELJET  テクノロジー」を採用した「IPSiO Gシリーズ」を開発し、A4モデル「IPSiO G707」「IPSiO G505」を発売した。
  IPSiO Gシリーズを同社ではこれまでのインクジェットプリンタやレーザープリンタとは別のタイプの「ジェルジェットプリンタ」と位置付け、ローエンドのビジネスカラープリンタとして訴求していく。IPSiO G707はカラーで毎分8.5枚、G505は毎分7枚のスピードで、1ドラム方式の低価格カラーレーザープリンタより高速出力が可能で、普通紙高画質、低ランニングコストを同時に実現した。
  価格はIPSiO G707が8万7800円。IPSiO G505は5万9800円。
 

◆凸版印刷、色の変化を目視できるスレッド用紙

  凸版印刷は目視で真贋判定が容易にでき、偽造防止効果がより高い「TNカラーシフト・スレッドホログラム」用紙をニッパツと共同で開発した。
 TNカラーシフト・スレッドホログラムは正面から見ると緑色で傾けて見ると青色に変化する(カラーシフト効果)のがハッキリと目視で確認できる。このため特殊な照明やフィルターなどの道具が不要で、従来のホログラムで可能な絵柄や偽造防止技術はいずれも盛り込める。価格は通常のスレッドホログラムに比べ若干コストは上がるという。
 

◆凸版印刷、小型ICタグ読み取り装置

 凸版印刷は携帯電話や携帯情報端末などに組み込みが容易な、小型ICタグ読み取り装置をこのほど開発し、来年4月から量産を開始する。
  開発された読み取り装置は、凸版印刷のICタグ用チップ「Tジャンクション」専用のもので、縦4センチ、横幅5センチと小型で携帯電話などに内蔵しやすく、スーパーなどで生鮮食料品などに添付されたタグから生産履歴情報などを携帯電話で読み取るなどの用途が想定される。
 読み取り周波数は国内、欧米型の両方に対応する。読み取り装置とタグとの読み取り間隔を5センチ以内に限定し、余分な機能を省いて従来品の半額程度の5000円以下の価格にして拡販を図る。
 

◆文字が熱で消えるプリンタ用トナー  -東芝-

 東芝はプリントした文字を熱で消せるプリンタ用トナー「e-blue(イー・ブルー)」を発売した。
 「イー・ブルー」は98年に開発した「消えるインク」をもとに商品化されたもので、プリントされる文字や図表は青色のため、再利用しないものと区別ができる。セ氏140度に加熱すると色素と発色剤の結合が切れ、これに消去剤と発色剤を結合させることで色が消えた状態を維持する仕組みとなっている。色は約2時間で完全に消える。紙を冷やす時間を含め計3時間で再利用できる。
 現在使えるのはリコー製のモノクロレーザープリンタ1機種のみだが、今後は複写機など対応機種を増やしていく。
  価格はトナーが2万円、専用の感光ユニットが7万円。消去装置は店頭価格で20万円前後の予定。
 

◆磁気方式によるタグシステム  -GSCM-

 ジーエスシーエム(GSCM)は磁気を使った荷札(タグ)で物流管理をするシステムを開発した。
  磁気タグは縦48ミリ、横25ミリ、厚さ80マイクロのシール状になっていて管理する品物に貼り付けて使用する。読み取り装置から発信される電波に磁気タグが反応する仕組。14種類の磁気タグの組み合せで最大16,383個の番号を表現できる。読み取り装置から発信される電波は、電波法の規制を受けない5メガ〜50メガヘルツの間で周波数を変動させながら電波を発振して磁気タグに反応させる。
 磁気タグそのものは書店などでの万引防止に使われているが、オン、オフの2種類の状態しかないため、利用がごく限られていた。複製が困難なため偽造防止用のシールなどの利用も考えられている。
 磁気タグの価格は10万枚以上で1枚5〜7円となる。読み取り装置の価格は4種類のタグを読み取れるもので5万円、14種類すべてを読み取れるものだと10万円を予定している。
 

◆通販カタログのCD-ROM版  -カウネット-

 カウネット(コクヨの子会社・オフィス用品通販)がこのほど通販用の紙のカタログの一部をCD-ROMに切り替えた。
 CD-ROMではカタログを開いたような画像が表示され、画像の拡大もできる。商品番号をクリックするだけでファックス用の注文書が作成でき、手書きで注文書に記入する手間が省ける。
 CD-ROMにすることでカタログ作成費、郵送代などを削減できる。紙のカタログに比べて約3分の1程度の経費で済む。
 

◆印刷物の自動点字化印刷システム -アメディア-

 視覚障害者向けシステム開発会社のアメディアは印刷物を自動的に点字化し印刷するシステム「あっと点訳」を開発した。
 「あっと点訳」はパソコンと点字プリンター、スキャナをセットにしたシステムで、スキャナ上に印刷物を置き、パソコンの文字認識機能で印刷物の内容を自動的に読み取り、その文章を点字に翻訳する。これを付属の点字プリンターで打ち出すシステム。所要時間は読み取りから打ち出しまででA4用紙1枚で約90秒。
 視覚障害者向けの音声ガイドやキーボードだけの操作も可能にした。点字プリンターの雑音対策用の防音キャビネットも販売する。
 価格は1セット100万円から。
 

◆フェデックス、デジタルペンで集配作業効率化

 国際貨物便の大手、米国フェデックス社は「ブルートゥース」(短距離無線通信規格)を使った新情報システムを導入し、集配作業の効率化を進める。
 このシステムはブルートゥースの機能を持つデジタルペンで専用紙に手書きで集荷情報を記入すると、瞬時にデジタル情報に変換し、発送ラベルを自動作成するというもの。
 デジタルペンはスウェーデン・アノト社製、専用紙はスリーエム(3M)が開発した。専用紙には細かくマス目がはいっており、記入された文字の形状をドットでとらえ、同時にペン先に埋め込まれている小型カメラで写した文字と整合性を認識する。
 専用紙に記載された集配情報はその場からブルートゥースにより本社のサーバーに送られ、集配記録と発送ラベルが自動的に作成される。集配人がペンと専用紙を持ち歩き訪問先で顧客に記入してもらった時には、集配人の携帯情報端末を介してその場で携帯型発送ラベル印刷機でラベルを刷り出せる。
 

◆日立、超小型ICタグ「ミューチップ」強化

 日立製作所は超小型無線ICタグ「ミューチップ」の事業強化に乗り出した。
  新開発の技術によりアンテナをチップに簡単に取り付けることに成功し、価格も1個10円台と従来価格の3分の1程度迄圧縮した。昨年々末には日本オラクルと共同で、「ミューチップ」を使って個々の荷物の固有情報と位置などが正確に把握できる物流支援システムを開発した。
  また伊藤忠商事は同社のスポーツ靴「コンバース」の展示商談会で、全国約3千店の小売店からの受注管理に利用することになった。
 すでに愛知県で開催される日本国際博覧会(愛知万博)の入場前売券に採用が決まっている。さらに商品、農作物の流通管理、製造物管理など各方面に用途が広がっている。
 

◆明光商会、低価格の簡易型指紋認証装置

 シュレッダーの明光商会はIT機器のセキュリティ事業への進出第1弾として、簡易型指紋認証装置「MS without You」を開発、発売した。
 「MS without You」はパスワード入力の代わりに指紋認証によって基本ソフトや文書その他の応用ソフトが稼動するシステム。生体認証開発のリアルアイディー・テクノロジー社と共同開発した。
 USBケーブルで接続するだけで使える。この装置を使用しながらデータ保存をすると、自動的に暗号化してハードディスクに保存できる。誤認識率を約0.01%に抑え、価格は3万円弱とした。
 同社ではすでに企業内での電子メールのやり取りを監視する機能を持たせたソフトを販売しているが、部門ごとにデータ保存を効率化させたり、ハードディスク内のデータを破棄したりするソフト等々の販売でIT機器のセキュリティ事業を新たな収益の柱にして行く。
 
 


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